女優?

以前、一緒に働いていたスタッフが、
「看護師は女優ですよ♪」と言った。
ただし、演技を見せる対象観客は上司と医師限定・・ごますりや色気はいらんぞ!・・

今、定期的に、とある大学の講義に参加しています。
その講義をして下さった先生の新人の頃の症例。

大腸がん、ストーマ造設30代女性。
職業がダンサー。
再発・転移により全身状態も進行し、精神的に不安定となっている状況で、
新人で受け持った。

挨拶・笑顔、明るくと信念を持って訪問していたある日
「あんた見てるとムカつく・・」と患者から浴びせられ、その場で凍りついたそうです。

後で、患者さんは先輩看護師に泣きながら
「自分と違う世界にいるキラキラしたあの子を見ていると辛い」と語ったとのことです。

違う世界って分かりますか?
死が近い自分と、
これから希望有る人生が待っている若い看護師が眩しく、
より自分の終焉を身近に感じさせたのでしょう。

患者さんによっては、
若くて明るく対応してくれる新人看護師にエネルギーをもらう事もあるでしょう。
又、不安で、針も刺されるのも怖くて眠れない患者さんは、
落ち着いたベテラン看護師が頼りかもしれない。

患者さんの表情や病状をアセスメントし、
話しかけるトーンや表情、
沈黙の場を作る事が必要とされる看護師は、本当に女優かもしれないと思いました。

舞台袖から、石を投げられるか、
割れんばかりの拍手をもらえるかは大事なところでしょう。

そして、そんな女優(看護師)の名声を挙げるために指導する脚本家は大変だな・・・
と思って大学のイチョウの葉と銀杏を踏みしめて歩きました。(銀杏くさーい!)

by がん化学療法看護認定看護師